週末に鑑賞した映画と感想ー続き

前回に引き続き、残り2作の映画(アニメ)をご紹介します。

秒速5センチメートル・2007年日本アニメ

「君の名は」の新海誠監督の作品です。順番的にはこの作品がずいぶん前で、最新作が「君の名は」となります。皆さんと同じように「君の名は」の映画ブレイクに伴い、監督の過去の作品紹介が一斉に紹介されるのを目にして、この作品(次に紹介する「言の葉の庭」も同様)を知りました。「君の名は」同様、非常に背景画が細やかで美しく、きれいに・そして丁寧に描いてあります。

一言で言うと非常に切ない作品です。誰しもが持つであろう青春時代の淡い思い出・叶わなかった恋心を重たく表現した作品です。キャッチコピーは「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。」

ここからはあくまで私の持論ですが、叶わなかったからこそ、時が経った時にほろ苦い思い出として、悪く言えば自分勝手に装飾した「都合の良い思い出」として、自分の中で美化されて残るものだと思っています。

多少脚色していても「忘れられない記憶」として心に刻まれれば、それは一生大切な記憶として残ります。ふと思い出した時に「人生の年輪の一部」として感慨深く思うものです。他人の思い出を感じる事はできないし、誰のものでもない自分の人生ですから、最終的には自分がどう感じているかが重要なのです。

作品の主人公はラストの時点では思い出として昇華できていないままなのですが、彼はここからあえて次の一歩を踏み出す勇気が必要です。踏み出して欲しいと思うし、そうしないとこの事が良い思い出に昇華されないままになり、それでは主人公の心の中にいる相手「彼女」がかわいそうです。

たった一度の学生時代において、強烈に残る思い出を共有したのはあなただけではないのですから、彼女もきっとそうだったはずです(ここは自分勝手で良いのです、実際の彼女はもはや関係なく、自分の中の彼女に色を付けていく事です)。

勇気をもって一歩踏み出してこそ、いつの日か自分の過去を遠くに感じる事ができるようになり、色合いはともかく「彼女」そして「彼女との記憶」をほほえましく思える日が必ず来ます。そうしてあげる事が大切です。その意味で、キャッチコピーは「ここから一日でも早く真剣に生きれば、またきみに会える」という感じでしょうか。

あまりに切なかったため、AKI先生が思わずアドバイスをした結果が上のようになりました。どうでしょう。


言の葉の庭・2013年日本アニメ

同じく新海監督の作品です。
靴職人をめざす高校生のタカオと社会人のユキノが、雨の日の午前中だけ公園の屋根付きベンチで交流をする物語。現代社会の人間模様と、梅雨や四季折々の景色が素晴らしい描写で表現されています。

細かいお話はもちろんここでは省きますが、前半は謎めきつつも物静かな女性(ユキノ)と、その存在に緊張とときめきを隠さない高校生(タカオ)が、雨の日の午前中だけの時間を過ごします。その時間と空間は常に白銀のようにまばゆく、きらめくような雨と風景の世界に包まれています。

この二人の距離のベクトルがどちらに向かうのかをじっと見守りだす後半に、突然物語のテイストが変わります、現実社会の闇と葛藤にぐっと引き込まれ、それでいてよく耳にしそうな展開に変わる訳です。

高校生のタカオは正直、年の割にしっかりし過ぎている気がします。私が高校生のときはこんなレベルになかった。はっきり言って程遠く、ずいぶん子供だったと思います。タカオは当然設定上の生徒ではあるものの、こういうしっかりした生徒いましたよね。環境がそうさせるのか、はたまた元来備わっているものなのか…。

それに対しユキノは、しっかり社会人ど真ん中の普通の女性です。作中で身の回りにおきているトラブルや出来事も普通にあり得る話ですし、27歳の社会人の精神レベルとして高いか低いかはともかく、こういう感じの女性はたくさんいると思います。

ただ、ユキノはタカオが年下だからと言って、タカオに「大人の女性」の素振りや雰囲気を見せはしません。ここは個人的ですが非常に魅力的な部分だと思います。職業柄あえてそうしたのかも知れませんが、実は相手の事より自分の事で余裕がなく精一杯だったという事かも知れませんね。

夢に向かって邁進している高校生と、人間の闇部分に振り回された社会人。環境は違えど現代社会を「生き抜くためにもがく」という意味では、みな同じなのだと思います。15歳と27歳の年齢差や立場の垣根などは無い事を、よく表現した物語だと思います。

私も年上のパートナーがいますが年の差は感じません。二人とも生きるためにもがいています。同じようにもがいている家族と共に支えあっています。ただそれを他人には見せないだけ、話さないだけなんですよね。

人間、自分一人では何もできません。互いに支え合ってこそ難題を乗り切れるものだと思いますが、家族間のつながりが薄くなりつつある現代では、家族に頼らない個人技がより必要になるのも事実でしょう。この物語ではユキノの問題は根本解決こそしていないものの、タカオがユキノをひと時でも支える事ができたのではないかと思っています。

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