無料SSLを使っているサイトの移転
現在多くのサイトのSSL化(https:のアドレス)が進められております。弊社にもサイトのSSL化の依頼がありますが、それに伴い既にhttps:化されているサイトの別サーバーへのサイト移転・引っ越しを担当する事も多くなりました。SSL設定済みのサイトを別サーバーに移す際には特に注意が必要ですので、ここでは弊社が遭遇した実例をもとに対処法をご紹介します。
通常サーバーの引越しの場合はまず移転先でのサイトデータの事前確認をする事になります。移転先できちんと同じデータがUP・稼働しているかどうかを確認するためのものです。問題がなければドメインのネームサーバー情報を新しいサーバー先に切り替えて移転が終了します。これはSSL化されたサイトでも同様ですので、SSLが移転先で既に設定できている必要があります。
利用されているSSLは一般的に月々の維持費がかからない無料のSSL(Let's Encrypt)などが利用されていると思いますが、実はこの無料SSLは実際にホームページが移転先のサーバー内に移った後(つまり引越し完了後)からでないと設定ができない事が多いのです。
仮にお客様のサイトがプレーンなHTMLサイトであれば、一旦httpのSSLなしの状態で1ページずつ事前確認をおこないます(他ページへのリンクがhttpsになっているとリンク切れするため1ページずつの確認になります)。
移転をさせた後すぐに無料のSSL設定を掛ける事でさほどタイムラグなくhttps状態に持っていけると思います。事前確認の段階ではhttpのサイトなのですが、確認だけなので深刻な問題にならない場合が多いです(もちろん例外はあります)。
ところがWordpressの場合はそうはいきません。
Wordpressは最初にURLを決めてインストールする必要がありますのでhttps:で始まるURLを入力するのですが、そのためには移転先で事前にSSL設定ができていないといけません。ところが無料SSLは移転が完了した後(つまりネームサーバー情報が新しいサーバーへ変わった後)でないと設定ができないという「縛り」が発生するため、httpsでのインストール・事前確認ができない事になります。
ではどのような手段が考えられるか
Wordpressサイトの移転の場合は事前確認の段階ではhttpでの確認をするしかありません。ネームサーバー情報を切り替えて移転を終えた時点ではそのサイトはhttp:のURLなので「SSLを掛ける前のサイト」に戻ってしまった事になります。ですのでその後無料SSLの設定を掛け、サイト全体をあらためてSSL化する必要があるのです。
一般的な作業工程
移転前のサイトを一旦httpのサイトに戻す(Wordpress内書換・データベース書換が必要)
↓
移転先サーバーにhttp:でWordpressをインストール
↓
データを移転先に移して事前確認
↓
サーバー引越しをおこなう
↓
その後SSLを掛け直してあらためてhttps化する
↓
という流れになります。
工程が多くなり一旦httpに戻ってしまうため、SEO的にも影響が発生する場合がございます。
(SEOの価値はあくまでURLに対して付与されるため、httpsがhttpになるのであれば効果の引き継ぎをしないと順位が落ちます。)
Xserverでの対処例
弊社もさくらインターネット様にあったhttps:のWordpressサイトをXserverへ移転させる際、上記の問題に直面しました。
いろいろ調べた結果、Xserverでは無料SSL以外の「有料オプションSSL」を利用する事で解決しました。
有料オプションSSLは別途情報登録の手間があり、年間で¥1,000程度の利用料が発生しますが、この有料オプションSSLであれば引越し前にSSL設定ができる・つまりhttpsでのWordpressインストールができるという利点がありました。今回弊社はクライアント様にご説明し、この方法を採用してもらいました。
httpに戻したり再度掛けたりと、URLが変わるという重大なリスクを回避できるのはお客様にとって一番メリットだと思いますし、初回1年間は有料ですが、引越し後すぐに別途無料SSLを申込してそちらへ乗り換える事が出来る事がわかりました。そのあと1年が経過する前に有料の方を解約すれば次の年からは維持は掛かりません。上記はXserverの場合ですので他のレンタルサーバーでも同じように切替前に事前設定できるオプションがあるかも知れません。詳細はご希望の別途サーバー先へお問い合わせ下さい。
有料オプションSSLを利用した場合(Xserver)
有料オプションSSLを移転先で申し込む
↓
httpsのデータのまま移転先に移せるのでWordpressインストール・事前確認が可能
↓
サーバー引越しをおこなう
↓
本来の無料SSLを別途設定してそちらに乗り換え
↓
1年以内に有料オプションSSLを解約
にという流れになります。